イベント案内


地域症例リレー

『三浦半島と県域にわたる、時期別広域リレー』

座 長 隆島 研吾 神奈川県立保健福祉大学

 

急性期  北澤 智一  横須賀共済病院

回復期  佐藤 里佳  七沢リハビリテーション病院脳血管センター

生活期  鈴木 三四郎 衣笠病院 通所リハビリテーションセンター

 

  急性期・回復期・生活期(在宅)の三期にわたり、各々、三施設のPTによるもの。脳血管疾患の発症から在宅療養までの流れを追ったリレーとなります。特に経験年数4年未満の会員の方々に、『PTの関わる意味と実際の役割』を想い描いていただき、日常業務の一助としていただけたら幸いです。

 

 生活期に向かうに従い、ご本人・ご家族のニーズは、より具体化して行きます。また多様化するニーズへの取り組み、活かしきれていない機能再獲得のチャンスや、環境への調整的適応、修正的家族指導、多施設・多職種連携の見直しなど、『調整や修正、そしてチャレンジ(隠れた能力の解発)』が求められます。

 

【はじめに】

“地域包括ケアシステム”の構築が進められて行く中で、『医療』・『介護』・『福祉』等のサービス提供が、一定の居住地域圏内(コンパクトシテイ)で完結できるよう、整備の方向性が示されてきています。その一方、急性期・回復期・生活期のように時期別で、より適したサービス提供を求め、結果として広域をめぐる症例に対応することも少なくありません。時期ごとに出会った担当療法士が、その現実と課題の変容をどう捉えて、役割を果たして行けるか、現状から一歩踏み込んだ、『橋渡しのアプローチ』や『潜在的な能力への気づき』『新たなニーズの優先性』など、関わる者としての意義が見えてきたらと思っています。

【急性期】

この時期は、リスク管理のもと、早期介入、早期離床、廃用予防、ADL の改善を行い、転院時には、次の病院や施設へ円滑に連携して行く役割があります。本症例は、50 歳台の男性で、右被殻出血を発症し開頭血腫除去術が施行されました。術後の介入となり、早期離床を進めましたが、熱発、頭痛、血圧のコントロール不良などの影響で、離床が円滑に進みませんでした。病棟生活では臥床傾向にあり、廃用予防に努めることとなりました。発症より1ヶ月後に転院となりましたが、『重度の左片麻痺』『重度感覚障害』『意識障害』『注意障害』が認められ、基本動作は介助を要する状態でした。

【回復期】

後遺症が残存し、生活機能が低下した本症例に対し、集中的な“個別リハビリ”を提供し、再び生活場面へとつなげることが、この時期を担当するチームの役割となります。本症例は、重度の運動障害に加え、覚醒水準が低く見当識の混乱や病識の欠如がみられ、ADL 全般に多くの介助が必要でした。そのため、在宅生活に向け、ADL の介助量軽減が目標となりました。転院後3.5ヶ月で、自宅退院時は麻痺側上肢の痛みを伴うROM 制限、起立・立位動作に課題を残した。生活環境評価と家族指導を含めて対応しました。

【生活期】

在宅療養生活を支援するサービスとして、訪問対応や通所リハビリや通所介護があります。介護保険下のケアプランとして、「ご家族の負担を軽減し、ご本人の外出機会を作る。」方針で、①短時間型(1-2 時間)の通所リハビリ ②従来型のデイサービス(リハ特化型) ③訪問マッサージなどが計画されました。①のサービス提供者として、個別リハビリ対応が開始されました。覚醒水準の低さや麻痺側上肢の痛みは、長期化した生活的適応の阻害因子として大きなものですが、姿勢のコントロールの向上と、服用中だった鎮痛剤の調整と共に、覚醒水準の改善し、環境からの情報が入りやすくなり、具体的な生活課題に取り組めるようになりました。

【時期別広域リレーの中からの学び】

時期別の状態(臨床像)は、症例ごとに多様であると思います。また、対応すべき課題の優先性も、状況に合わせて吟味が必要となりましょう。一方で、生活場面ならではの機能や能力の活かし方、また、適応要領の必要性が、現実問題となります。福祉用具の導入、1 日、1 週間の時間の使い方など、“~してみたい、やってみたい”など実現したいことへの準備的対応も大切になりましょう。

(公社)神奈川県理学療法士会

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